坂月有子

ターミナルの坂月有子のレビュー・感想・評価

ターミナル(2004年製作の映画)
2.3
<概説>

祖国が内部紛争で消滅したことにより、国籍の問題で入国拒否された男ナボルスキー。空港から出られない彼は、そんな苦境にあっても多くの人々と交流を深めていく。スピルバーグとトム・ハンクスの黄金コンビが贈るヒューマンドラマ。

<感想>

最初トム・ハンクスがどう聞いてもネイティヴ・イングリッシュを話すので、そのあたりの違和感からくるシュールコメディかなと思っていたのです。が!!!!!

蓋を開けたらあらびっくりの胸糞悪さ。と言っても一言では納得いかない方も多いでしょうからなるべく説明を。

まずナボルスキーが言葉が通じないのはわかります。それに関して艱難辛苦が待ち構えているのも当然。

しかしナボルスキーは四十過ぎたいいオジサンです。いくら純真な人柄でも、その一言では済ませられない奇行が序盤からチラホラ。
こういった純真さというのは「普通では理解できない素直さがあるんだ」と称賛されがちですが、この奇行からそれがあまりに露骨で、かえって"普通"である観客からの嘲笑的な視線を感じます。

特にその奇行が一般にコメディパートと言われているのが胸糞悪かった。道化のような行動をするナボルスキーを見世物のようにして、ちょっと抜けたことをすると大爆笑。到底対等な人間を見ている作品とは思えません。

また純真さは神によって報われるというような、一種の予定調和を演出するための宿敵ディクソンも大概酷い。
彼が書類人間で、純真なナボルスキーと対立するならまだわかります。しかしビザを獲得したナボルスキーでさえ私怨で攻撃したあたりから、彼の人格はただのクソ野郎にまで堕ちました。そもそも彼は事務的な責務すら放棄して、最初からナボルスキーを貶めようとしていましたし。なんにせよ見ていて最悪の気分。

こうも腹の底がムカムカするのを、ラストで突然民衆が味方して「わあ感動のストーリー!」ってんな訳あるか!!!いよいよ堪忍袋の緒が切れます。本作で感動したのはむしろ自分の忍耐力でした。

純真≒アホな主人公が苦難を乗り越えたり、それが巨匠の作品なら感動の傑作と言わなきゃいけない風潮だけはなんとかしてください。私は口が裂けてもこれが名作だとは言えません。