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飾窓の女の堊のレビュー・感想・評価

飾窓の女(1944年製作の映画)
3.6
ジジェクの映画での『マブゼ』引用箇所に驚いたが、『斜めから』でこれにかなりのページを割いて解説していたのにも驚いた。けっきょくは夢オチ。でも夢が覚める前のジョーン・ベネットはずっと迷っている。「なにもなかったことにしよう」そこに主人公であるはずのエドワード・G・ロビンソンは語り手として後景に退き、自体を見守るばかりである。だからジジェクの「むしろ、無意識においては、つまり欲望の〈現実界〉においては、われわれはみんな人殺しなのだ、ということである」だなんて解説をすっきり飲み込めない(映画を語るジジェクはいつもでたらめだし胡散臭いけれど)。『君の名は』を見ると辛くなるという友人の言葉を思い出した。「たとえ、三葉を取り戻し「出会い直す」ことに成功したとしても、あの隕石で消えてしまった三葉に出会うことはできないんだ。リセットボタンを押してもういちど「こんにちは」と出会いなおしたゲームのヒロインはぜったいに同じ人物なんかじゃない。そんなものを肯定しちゃいけない。隕石の地表にぶつかった際の衝撃波、2000度の業火に焼かれた三葉は過去と過去の間にずっといるはずなんだ」
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