ほーりー

旅路の果てのほーりーのレビュー・感想・評価

旅路の果て(1939年製作の映画)
4.8
倉本聰の「やすらぎの郷」では、芸能人専用の老人ホームが舞台で話題を呼んだドラマだが、ずっと以前、戦前のフランスで似たようなシチュエーションの映画作られている。

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督による本作は、俳優専門の老人ホームを舞台に、三人の元役者たちを中心に描いた人間ドラマである。

ひとりは“過去”の栄光に溺れてしまい、ひとりは“過去”のトラウマからいつまでも立ち直れず、もうひとりは“過去”がないことを悔やみ、それぞれの残りの人生を過ごしている。

ルイ・ジューヴェ、ヴィクトル・フランセン、ミシェル・シモンの三者三様の演技…いや彼らが演じた人物そのものに引き込まれる。

終末に向けて、ひとはどうやってそれぞれの過去を総括していくのか、本作は老役者たちの目を通して観客にうったえかけているようである。
ほーりー

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