ゆん

死霊の罠のゆんのレビュー・感想・評価

死霊の罠(1988年製作の映画)
4.2
ノイズ混じりのカメラは、縛られ胸をはだけた女性を撮している。腹を裂かれ、眼球をメスで突き刺された瞬間、視聴者は女性とシンクロし、その痛みを自分のもののように感じる。モノクロの瞳のセンセーショナルな画は、その痛みとショックを効果的に表している。
過不足ないセリフや、緻密に練られたカメラワーク、アダルティかつ怪奇的な雰囲気で作られた完成度の高いストーリーの前で、グロテスクな特殊メイクシーンはむしろ箸休め的な位置付けだ。
車から降りた主人公達を頭頂部からの俯瞰で捉えるカットや、怯える人物の周りをカメラが一周して恐怖を煽る手法などは、邦画を観ているということを忘れてしまうほどのスケール感。
後半は切なくいとおしい、驚きの展開が待っている。ホラーファンでなくとも十分にオススメできる作品だろう。
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