一つの関係から、三角関係へ、そして色々な人物が絡まり複雑な五角関係に。かつて谷崎潤一郎の『卍』を三角から四角関係へ移行する多角作品と語った評論家がいたが、この作品もそうだと言える。主人公(ジェーン・バーキン)と愛する女性のレズピアン関係や、最後に「死」を突きつけられたりするところもどことなく『卍』を思わせる。
でもこの映画で一番ヤバイのは主人公でもなく、五角関係の中にいる少女。彼女は別に他の四人とも性的な関係に結ばれていないが、大人の女性のように四人へ介入し、時には哀しみに暮れる彼らを抱き締めたりする。子供なのに凄まじい色気と艶やかさを誰よりも放つ彼女の存在感には圧倒される。
フランス映画らしい芳醇な映像が、一層文学感を醸し出す。愛するのに愛されない、大人の報われない恋愛映画。