このレビューはネタバレを含みます
号外/
五社英雄の一連の作品よりずっと良いよ
『明治・大正・昭和の遊郭での女たちとその後ろでうごめく漢たちの血で血を争う闘争』
の『始祖』のような奉り挙げられ方をしている五社の死後
に造られたこの映画は
たぶん五社英雄のモノマネあるいはこの映画の約十年前に造られた五社三部作の影に隠れて見向きもされなかったであろう
しかし
作品そのものより
「女優陣の豪華さ絢爛さ」
「たまにロマンポルノのように決められたかのように入ってくる女優陣の着物プロレス」
「決まりきった時に挿れられる男尊女卑な漢たちのウリャーコリャーな怒声」
などの
【あの頃の雰囲気もの】・・
以下の内容にしか思えず
個人的には世の中の五社英雄の奉り挙げられ方には異論しか持ってなかったけど
この映画はその「雰囲気もの」に終始することなく
「物語」の『骨格』もしっかりしていて
良かった
五社作品のような俳優陣の「オレが!オレが!」なゴッタ煮のような事もなく
かたせ梨乃(特に斉藤慶子に男にうつつを抜かすんじゃない!と叱咤するくせに津川雅彦にうつつどころか骨抜きにまでされて最期には同じ彼岸の道を辿る
津川が死んだことを受け入れられず斉藤慶子にレズビアン的アプローチをするかたせが最高!!
個人的に鎖園主演女優賞をあげたいくらい!)
と
津川雅彦
が
「物語」の『文鎮』的役割を果たし
斉藤慶子鳥越マリ(個人的に東南アジア系顔をしている彼女は違和感その後の活躍はこの映画で彼女の現在を知った他製作陣によって映画界どころか芸能界にすら居場所を亡くす)南野陽子
特に斉藤南野
が
「物語」を動かす
左足の淫らな足から這いり・・
中尾彬の背中へ垂れ掛かる
南野陽子のなんとエロい
シーン
(なかなか女優的ポテンシャルはこの映画でもヌキん出てるのにキャリアで『大御所』に成れないのはあのヤ○ザ旦那のおかげか?)
と
人力車から津川が降り
水平線の現る海に向かって歩いて逝く
シーン
は
埋もれるべきではない筆舌尽くせないこの映画の『ランク』を決定づけるシーケンス
学芸会のような「ケツ捲り上げ踊り」も『熊本』という地方都市の競争力のないAKB的雑さと内輪的団欒さが相まって
【箱】に葛藤が生まれた時に産まれるこの「踊り」が
観ているこちらにもある瞬間ホッコリさせるような「暖かさ」を産み出していた
ただ最期中尾を刺す斎藤のチャンバラ遊戯な「胴体直接刺さず」な【茶番】な撮り方は
一気に冷めたな
それだけかな・・不満は
ホントかたせ梨乃の牙城を崩す南野陽子の女優としての才能を垣間魅れた
映画ともども埋もれさすべきではない才能。