こたつむり

アイ・アム・レジェンドのこたつむりのレビュー・感想・評価

アイ・アム・レジェンド(2007年製作の映画)
3.9
♪ 夕焼けの街は激しさを そっと忘れてる
  いつか見た空が 僕の心を帰すよ

荒木飛呂彦先生オススメの作品。
…ということで再鑑賞しましたが、かなり内容を忘れていました。でも「地球で最後の男」という見出しと、ゴルフの場面、吊られる場面、ワンコと浴槽に入る場面は憶えていました。うん。僕にしては頑張ったほうです。

ただ、初見時の印象が悪かったのは確実。
家族と「ビミョーだった」と話した記憶は明瞭でしたからね。ゆえに巷の評判が悪いのも納得。確かにボンヤリとした作品だと思います。

が、今回、気付きました。
本作は“神話”だったのですね。
だから、ディティールが曖昧でボンヤリとしていても良いのです。確かに神話を紐解いても、詳細な描写などありません。厳かな雰囲気が最も重要なのです。

それを考えれば、本作が“孤独”を強調するのも当然。その“痛み”は突き刺さるほどに激しく、寄る辺もない小さな存在は天を仰いでも小さいままであり、横に居てくれるワンコの尊さ…この感覚を伝えることが本作の主軸。

特にマネキン人形に名前を付ける場面など共感以上のものを抱いた次第。理性を保つ…それが彼にとって生き抜くことよりも大切なのですね。うはぁ。いたいいたいたい。そして、ごめんごめんごめん。

ゆえに世界が崩壊した理由についても。
善意なのか悪意なのか偶然なのか過失なのか。
ひたすらに不明瞭でボンヤリとした輪郭を如何に捉えるのか。その読解力が試されているのでしょう。そして、それが人間の未来を左右するのかもしれません(なんて大袈裟ですかね)。

まあ、そんなわけで。
SFやホラー(厳密に言えば奴等はゾンビではない)の括りではなく、神の啓示として捉えたほうが良い作品。現実は虚構を容易く超越しますからね。つい最近も感染症が…。ね。

最後に余談として。
「主人公の娘がウィル・スミスにそっくりだなあ」なんて思ったら、実の娘だったのですね。なるほど。「父ちゃんはこの作品で伝説になる!」と娘に見せたかったのでしょう。気持ちは分かりますよ。にやり。
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