鈴峰らんか

ひばり捕物帖 ふり袖小判の鈴峰らんかのレビュー・感想・評価

ひばり捕物帖 ふり袖小判(1959年製作の映画)
3.5
ひばりちゃんの映画を観たのはこれが2本目。

始まってすぐその衣装チェンジの多さに驚く。しかも並みの衣装チェンジじゃない。お姫様、チャイナ娘、岡っ引き、月代姿の遊び人など男女問わずもういろいろ!当然、衣装によって身のこなしも声色もすべて変わるわけで。その七変化には驚かされた。わたしが好きだったのはチャイナ衣装。長い三つ編みすごく可愛かったな~。

初っ端の見事な鷺娘の舞も、劇中で兵馬への想いたっぷりに唄う歌もすばらしかった。やっぱり和服を着て舞うことで引き立つ美しさと、それが似合う日本人体型ってあるんだ。最近のモグラ女子のきれいなお姉さんたちも好きだけど、こういう美しい姿は見せられないだろう。時代に選ばれたスターの成せる技。

お話としてはわりとライトなミステリーもの。盗まれた御用金をめぐり何人もの思惑が交差していく。登場人物に無駄がない。面白いところだけつないでどんどん進んで行く感じ。解説や回想シーンを入れないと理解するのが難しそうと思ってしまうシーンがいくつかあった。例えばお七親分が小判に刻まれた藩の刻印を見つけて子分に伝えるシーン。今だったらなぜ刻印があると出所がわかるのか、それがどういうものか長ったらしい説明せりふになってしまいそう。この頃は作るほうも観るほうも時代劇や江戸時代の暮らしに造詣が深かったんだろう。娯楽時代劇がバンバン作られていた時代の作品だもんなあ。羨ましい。

勉強不足なもので東千代之介さんのお芝居を観るのは今回が初めて。ヒゲ面ののんべえ役(腕はめっぽう強い)なんだけど、当時でもこういう役も多くやってたのか、普通にイケメンな立役が多かったのか気になるところ。すんごいきれいな顔してらっしゃるのでヒゲが大げさに見えた。そりゃこれだけ美形で腕が立てばお七ちゃんも惚れるわ~!
黒田節を舞う姿も見事。こういう「芸能人が芸を見せる」ことって当たり前だけど今となってはなかなか無いこと。踊れ、三味線弾け、唄えと言われて出来てしまうのがこの時代のスターなんだろうな。


そして千代之介さまより目を引いたのが若かりし日の里見浩太朗さん!!言葉にできないほどかっこいい…声がかっこいいし立ち姿がかっこいいし若い娘さんに向ける視線がかっこいいし何してもかっこいい。かっこいいでできている。里見さんファンは本当に見て。かっこいいから。

どれだけピンチになっても最後に正義が勝つってわかっているから面白い。時代劇はこうじゃなくちゃ。
最後に、私は途中まで見ても阿部伊予守やってるのが若山富三郎か勝新太郎か見分けがつきませんでした。精進します…。
鈴峰らんか

鈴峰らんか