あまね

追跡者のあまねのネタバレレビュー・内容・結末

追跡者(1998年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ハリソン・フォード版『逃亡者』のスピンオフ作品。
『逃亡者』でキンブル医師を追い詰めたジェラード捜査官が、今作の主人公だ。と言っても、『逃亡者』を全く知らなくても十分楽しめる。

連邦捜査官2名を殺害した容疑の男(シェリダン)が、囚人護送機から脱走。同乗していた連邦捜査官(ジェラード)が、彼を追跡することになる。
シェリダンを追ううちに、捜査官殺しの虚と実が見え始め、事態は意外な方向へ――

王道のクライムサスペンス。
『逃亡者』で切れ味の鋭い追跡を見せたジェラード捜査官の手腕は、今作も健在だ。
但し、今回は追う者と追われる者の息が詰まるような緊張感よりも、追う者の有能さや人間味、謎解きにウェイトが置かれているように思う。やはり《ジェラード捜査官のための》物語だからだろう。

序盤から畳みかけるように場面が変わり、観客の目を飽きさせない。
テンポがとても良く、派手さはないが安心して観ていられる。
前半は逃亡と追跡だが、中盤から捜査官殺しの謎がクローズアップされ真実の一端が見え始めると、今度は謎解きに引き込まれた。
特別捜査官としてジェラードに半ば強引に押し付けられたロイス(ロバート・ダウニー・Jr)の存在感も良い。
展開としては王道で目新しさはないものの、要所要所で驚かされ、目を瞠りつつ、最後まで楽しんで観ることができた。

一点、個人的な不満を挙げるならば、できれば大団円ーー完璧な大団円で観てみたかった。
この手の映画で味方が死なないというのは限りなく珍しいのかもしれないが、ラストまで観て、この映画だけはどんなにあざとい手を使ってもいいから、味方の被害無し(怪我まで)という状況で観たいと思ってしまった。
あまりにも冷静沈着なジェラードの人間的な側面を引き出すためには仕方なかったのかもしれないが、うーん、それにしても残念!
でも、面白かった!
あまね

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