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恋の秋のpikaのレビュー・感想・評価

恋の秋(1998年製作の映画)
4.5
親友の娘による印象の悪さから始まり、息子の恋人からの賞賛と、人伝ての印象からキャラクターを構築し観客が彼女を観察するというように印象を植え付けるということ、キャラ同士の印象、ひいては他人同士が合う合わないという思い込みまで、人が人に対する「印象」をきめ細やかに描写した演出が印象的。

綺麗だとか好みだとか合うだとか、対面した相手の印象は常に変化し続けるもので、他人が他人の印象を思い込みで決めつけ愛を押し付けるというのは危険な誤解を生む可能性があるが、自然な出会いも諦めた中年にとって無謀なお節介は時に吉ともなり得る、とは言いながらもそこに見え隠れする自意識は失われず女はいつまでも女であり、自分は愛する男がいるからと自分のために哀れな友人に男を選びながらも自分に惹かれて欲しくて、それを戸惑いながらもあしらう自分にも酔いたいというめんどくさい感じは女性あるあるな感じがリアルで絶妙!

鋭い人間観察から生まれたリアルなキャラクター描写が生々しいほど身に迫り、いつでも起こり得るようなとても身近なテーマであるが故に、まるで自分が対面しているような共感から些細な何でもない展開をサスペンスの如き緊張感を生む娯楽に仕上げてしまう。
ロメール監督の鮮やかな演出手腕はワインのごとく円熟し、常に身近なテーマでありながらも似たような作品は一つとしてなく、作品を見るごとに魅力が増すかのように新鮮な感動すら感じる。