みんと

ある結婚の風景のみんとのレビュー・感想・評価

ある結婚の風景(1974年製作の映画)
4.1
長尺に怯んでモジモジしてた期間を後悔!

1話ずつコツコツと観進めてみよう…くらいの軽い気持ちでエイヤっと飛び込んだら、
のめり込んで観てしまった!止まらなくなった!面白かった!

全6話からなる、文字通りある夫婦の風景を綴ったドラマシリーズ。
放送当時、スウェーデンで離婚を増加させたと言うのは今や有名な話?

結婚して10年の夫婦、ユーハン(心理学教授)とマリアン(離婚弁護士)は2人の娘にも恵まれ幸せな日々を送っていた。しかし、心のどこかには、相手への不満や物足りなさを抱えながらも本音を隠してきた。ある日、前触れもなくユーハンが浮気を告白した事をきっかけに2人の関係は次第にバランスを崩していくのだった……。

先ずは、ほぼ2人の会話劇でここまで魅せるベルイマンの演出力に脱帽。
当然、ウルマンとヨセフソンの密度の濃い演技あっての作品ではあるけれど、男女の性差を超えた人間性の炙り出しがとんでもなく素晴らしかった!

衝撃の3話は1周まわって笑っちゃったけど。

膨大なセリフ量で進む会話劇は感情の変化が忙しい。
穏やかな夫婦愛を感じたかと思うと次の瞬間修羅場と化す。怒鳴り、罵り合い、とっ組み合う。更には皮肉に嫌味、人格否定。
ラストは一体どうなる?いや6話までも続けられる?
…最悪の結末しか想像出来ない。

ただ、よその夫婦のゴタゴタを覗き見する感覚もありつつ、きっと誰もが身につまされるであろうポイントには気持ちがザワつく。
他人事と割り切れない夫婦あるあるから目が離せない。

約50年前の作品だけれど、古今東西、万国共通、普遍的な夫婦の姿、夫婦の亀裂を圧倒的な二人芝居で魅せるリアルが過ぎる男女のドラマだった。


夫婦に必要なのは
思いやりの心と慈しみとユーモアと寛容の心
相手への程よい期待
それがあれば愛は関係ない


毎回ラストで登場する風景とナレーション、ツンと斜め上を向いた彫像が、回を重ねるごとにシュールさを増して感じる。
みんと

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