空襲を避けて地方に越した夫婦が、戦後貧困の中で優秀な一人息子の将来を案じながら必死に生き抜いていく姿を綴った年代記。河野道工の歌集「道路工夫の歌」を基に木下恵介が脚本化した作品で、黒澤明の「椿三十郎(1962年)」と同年制作。
道路工夫の夫を佐田啓二が、小間使いの妻を高峰秀子が演じ些細な会話ひとつひとつに溢れる絆を見事に表現。
互いを尊重し合い理解し合い、時に喧嘩をし本当の意味で支え合って暮らしている理想の夫婦像がモノクロの美しい田舎風景や主題歌と調和し、心地良い哀愁を生み出している。
脇役で若かりし頃の倍賞千恵子を確認。