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野良犬のnekosukiのレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
3.8
"三船敏郎”生誕100年プロジェクトの一環としてWOWOWで"三船敏郎”の特集が組まれた。今月16日から2週に渡って放送される作品群を漏らさず観賞してBlu-rayに残す予定だ。
今日は未見の「野良犬」を録画観賞した。
"黒澤監督”はカメラマン志望だった"三船敏郎”の原石の魅力にいち早く気付き、俳優になることを勧めた。
"黒澤監督”の選択眼は正しく、彼は俳優として大成した。
「野良犬」は"黒澤監督”初のサスペンス映画で当時新人の"三船敏郎”を主役に起用し成功を納めた。
真夏のうだるような暑さの中、車内で拳銃をスられた若き刑事は懸命に追いかけるがスった男を取り逃がす。拳銃が犯罪に利用される不安と闘いながら地道な捜査は続く。ミスを責めない先輩刑事の温かさが良い。ベテラン刑事と組んで捜査は佳境に…
敗戦色濃い街の様子や人々の疲弊感、それとは逆のプロ野球への熱狂が丁度良い対比になっている。
犯人に結び付く男は野球ファン、その男を探すために"ジャイアンツとホークス(南海)の試合風景”と"満場のスタジアム”をカメラは舐めるように撮っていく。
流石、"黒澤明”、スケールがデカい!

ストーリーの軸は新人刑事の成長物語だが戦後の混沌を描きたかったのかもしれない。
監督はじめ、ほとんどのキャストが亡くなってしまったことが寂しい限りだ。
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