アァーーーーーー

野良犬のアァーーーーーーのレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
4.1
「こんな世の中が悪いのよ!」
「じゃあ、あんたもこれを着てアイツらみたく悪者になればいいじゃないか!」
「楽しいわ!楽しいわ!」
「おやめっ!!」
ザーーーーーッ.......

拳銃を盗まれた新米デカの話。

前半は三船敏郎
中盤は志村喬
後半は2人
終盤は三船敏郎

...といった具合に主人公的な視点が変わるというかで、結構実験的な印象。
中盤の志村喬が主導権を握る辺りで全く三船敏郎のセリフがなくなり「ん?駄作か?」と思ったが、
後半になって各々の視点が交互に切り替わるところで「おお」となる。
んで、ズーーーッと犯人の顔を見せないのも「天国と地獄」に通ずる黒澤明風で素晴らしい。
しかも最後の最後にわかる犯人役が、、、

前回見た「静かなる決闘」ほどではないが今作品も良作。
テーマであると思われる「同じ境遇ながら最後は捕まえる方と捕まる方になる。この差は一体なんだ?」というメッセージ性もしっかり伝わる。

ラストは黒澤明にありがちな「バスッ」と幕を閉じる感じでマイナス。

カットの構図も素晴らしいものばかりなのに印象的なカットほど差し込み程度で勿体無さを感じるのもマイナス。
多分この頃には前例がなかったと思われ、難しかったとは思うが、テンポを大事に考えて作られていたら傑作になったのかと。
アァーーーーーー

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