きみちゃん

野良犬のきみちゃんのレビュー・感想・評価

野良犬(1949年製作の映画)
4.5
拳銃を盗まれた若手刑事の村上(三船敏郎)がベテラン刑事の佐藤(志村喬)とバディを組み、泥臭く捜査を続けていく。

冒頭の野良犬のアップが強烈。
白黒だが、したたり落ちる汗、溶けそうなアイス、滴の表現が印象的。

三船敏郎が若い!横顔の美しさに驚愕!「七人の侍」が、この5年後とは信じられない。

戦後の東京の混沌とした情景も楽しめる。野球の試合のシーンは、今とは比べ物にならない位、娯楽の中心だったのだろうと思われる盛り上がり。

復員してくる時にリュックを盗まれたという村上と犯人の共通点。
その後の二人の人生は、刑事と犯人という全く違う方向に向かう。

自分の不幸を人のせいにしてしまう犯人。現代なら、甘えるな!と言いたくなるが、この辛い時代をくぐり抜けてきた人に対して、自分は言える立場ではないだろう。

戦後と言えども、それぞれの心の中では、まだ戦争は続いていたのだろうと考えさせられた。

また、現代の刑事バディものの原点を2017年に劇場で観られた幸せを噛み締めた。