おしゃ

セロ彈きのゴーシュのおしゃのネタバレレビュー・内容・結末

セロ彈きのゴーシュ(1982年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

@ユジク阿佐ヶ谷
ユジクはパンダコパンダ色強すぎたけど、おめあてはゴーシュ。

村の楽団でチェロを弾くゴーシュくんは、いつも楽長にひどく叱咤されているものだから、夜中のチェロ練習中にちょっと音を聞きに来た猫くんにも、最初はいじめのような対応をしてしまいます。それでも毎晩訪れる動物たちとセッションを繰り広げていくことで、次第に知らぬ間にも彼の心はときほぐれていき、豊かになっていくのでした。とにかくたぬきくんが愛しく、登場数秒で脳汁が出ていたとのち妹に指摘されました。

セッションやアンサンブルというと、青春モノや、団結、スポーツ感、夢をテーマにした物語をよく見たけれども、これは、ひとりの少年(青年)が、動物たち───これは人生における様々な美しい出会いの比喩であろう───に出会うことで、次第に音楽に対して必要な開く心が育まれる、ひとりの成長物語でした。その意味で青春モノには違いないけれども、もっと泥臭く、ストイックに、チェロという道具を通して世界とぶつかっていく様子を描いた青春です。けれども、動物、楽団のちょっとした女子とか、ゴーシュの周りには見てくれる人もいて、決して一人ぼっちという感じはしない。それは、周りの豊かな自然からもそう感じさせてくれるなにかがあると思われます。

おもしろいのは、ゴーシュくんはけっこうそのへんにいそうな(言っちゃいけないけど)いもっぽいお顔立ちなんですが、物語を経て最後になると、なんだかかっこよく見えるんですね。イケメンではないけど、いいなあ、と思う表情で、男の子ってこうだよねって思わせられる描き方でした。(女の子でこう描くのむずかしいよねえ)

90分で、この豊かで深い成長物語を観れるのは本当にお得、お得という軽い言い方は嫌になっちゃうほど、そう思います。
最後に、楽長からゴーシュへの言葉「1週間でこれだけできるとは、若いからできるんだ!」(曖昧)っていうのは、完全にメッセージとして突き刺さってしまいました、高畑師匠...。
おしゃ

おしゃ