伊丹十三の監督デビュー作。
「俺は春死ぬことにしよっ。俺が焼ける間、外は花吹雪。いいぞっ。」🌸
伊丹十三監督作品は『タンポポ』以来2作目の鑑賞。
これまた傑作。伊丹十三監督の脚本・演出、名優たちの演技、繊細な美術、どれをとっても素晴らしい。伊丹ワールドの虜になりつつある。
祖父の突然の死に際し、初めてお葬式を出すことになった家族の多忙な3日間を描くハートフルコメディドラマ。
伊丹十三監督の目の付け所が鋭い。葬式というシリアスな題材を逆手に取った不謹慎スレスレのシチュエーションコメディとして、また"日本人あるある"が詰まったドタバタ群像劇として、とても面白かった。
廃れつつある、日本の葬式文化が詳細に記録されているという意味でも貴重な一作かと。古き良き日本の心が随所に感じられ、心に染みる。中でも、お祖母ちゃんの最後の挨拶は涙無しには見られない。
お気に入りのコメディシーン。
・「冠婚葬祭入門ビデオ」 を観ながらの、入念な予習。「ご丁重に恐れ入ります。」は便利フレーズ。
・お坊さんに扮する笠智衆の登場シーン。完全に出落ち。
・鉄板ではあるけれど、正座で足がしびれて立てないくだり。
娘に自分の初恋相手の名前を付ける父親は、鬼畜でしかない。
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