のら

カイジ2 人生奪回ゲームののらのレビュー・感想・評価

カイジ2 人生奪回ゲーム(2011年製作の映画)
2.5
1作目よりは面白い反面、藤原竜也演じるカイジが普通にヒーローになってしまっていてクズ感が弱まっている。

今作の敵であるパチンコ「沼」は、パチンコ台を一回り大きくした感じ原作とは違い、無駄にでかいマシンになっている。この変更自体はクライマックスの攻防に繋がる仕掛けにはなっているので良い変更だ。

しかし根本的な問題として「沼」のギャンブルとしてのゲーム性に難がある。この「沼」は一般的にプログレッシブジャックポットという種類のギャンブルゲームで、ゲームの仕組み的にやればやるほど当たる確率が上がるため、親とイーブンコンディション(イカサマがなければ)であれば、単純に物量勝負で勝ててしまう物になっている。つまり駆け引きのおもしろさという部分が恐ろしく弱いゲームだ。極端な話あの場にいる全員がカードで金を借りれば簡単に陥落させる事が可能なゲームといえる。

また主人公たちが使う仕掛けに無理がある。簡易プールに水を貯めてビルを傾けるが、普通そんな事したらビルの床が抜けてしまう。

個人的には映画オリジナルゲームである姫と奴隷が古典的なギャンブルゲームではあるが、ギャンブルと娯楽性の両方を兼ね備えていて中々面白いゲームになっている。ただ見せ方に人の業の深さが出てないのが勿体無く、ライオンに食われたらそれを見ている姫の綺麗なドレスに返り血がビジャっとかかって、血まみれの手で300万もらうといった描写が無いため温く感じてしまう。床や壁といったセットが全然汚れていないのも、たった一問正解するだけで大金が手に入るという、異常性や禍々しさといった物がまったく表現されてないのも勿体なく感じる。

全体的にいうとパチンコ「沼」攻略の部分は強奪物として良く出来ているので悪くはないと思う。しかし伊勢谷や吉高の独り語りが多く、お気持ちの表現は映像だけでやって欲しい。吉高由里子にお前も借金のかたに地下送りだぞと脅すシーンも、あれだけの美人を地下送りにするよりも、他の何かに沈める方が金になるんじゃないか?という気しかしなく、やはり話の粗というか隙が目立つ映画になっている。
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