つのつの

サムシング・ワイルドのつのつののレビュー・感想・評価

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)
5.0
再鑑賞
レイ・リオッタが真っ黒なジャケットを羽織ってフレームインした瞬間に、映画がラブコメからノワールに転換する。
取り返しのつかない過去に苛まれたり、現実のままならさから死に物狂いで逃避した挙句犠牲を払ったりもするけど、「まだイケるっしょ!」とシスターキャロルに歌ってもらえたら大丈夫だろう。
ここまで音楽とファッションがイケ散らかしてるのに、役者の演技を信用しているのも堪らない。
メラニー・グリフィスが銃を排水溝に捨てるシーンでスロモーションになる場面は、PTA『ハードエイト』で引用されてたはず。



サイコーにクレイジーでハッピーなラブコメディ。

破天荒ガールとの逃避行が徐々にハイスクール時代の怨念との対決に転換していくあたりでテンションマックス。
さらにそこからダメ男のワンスアゲインになるなんて!
ちなみに、彼が一旦敗走する時に映る閑散としたパーティー会場の不気味さが凄かった。
イカすサントラとサンプリング演出のポップさは、タランティーノやエドガーライトの先駆けじゃないか。

社会モラル犯しまくりの2人なのに、彼らの軽妙さの奥に隠れた脆さとこじれにこじれた生活が滲み出てくるから、クライマックスには彼らを心底応援したくなるし、最後にはくっついて欲しくてたまらなくなる。
脇役に至るまで全員キャラ立ちまくり。
君の名は。エンディングに涙腺が潤んだ後、トドメの一発としてのエンドロールも最高。

愛してない箇所が1秒たりともない。大好き!
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