イチロヲ

サムシング・ワイルドのイチロヲのレビュー・感想・評価

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)
4.0
万引き行為を唯一の刺激剤にしている平凡な会社員が、自由主義者の女性と一緒にハチャメチャな逃避行動を繰り広げていく。突然現れた「意地悪な天使」との交流を描いている、サスペンス・コメディ。

従来とは正反対の生活様式に飛び込んだ男の奮闘ぶりをギャグ要素にしながら、ヒロインの行動理念を段階的に開示させていくスタイル。日常と非日常の倒錯状態を利用した不条理コメディが、大きな醍醐味となっている。

初期ニューウェーブの名残を取り入れつつ、80年代中盤の若者カルチャーを虚飾なしに描写。エキセントリックなキャラクター像をもつヒロインが、ドラマ展開に合わせてイメチェンしていく。

「忙しない日常から開放させてくれるイイ女いないかなぁ」という男の願望を含ませながら、忌まわしい過去を払拭させようとする女性の再出発へと着地させていく。目前の幸せを掴み取るための行動力の大切さを痛感させられる。
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