エディ

都会のアリスのエディのレビュー・感想・評価

都会のアリス(1973年製作の映画)
4.4
ドイツの作家が旅行記を出すためにアメリカに来たものの、作品の仕上げに苦心する中でアリスという少女と出会い、彼女を親元に届ける中で彼の心に変化が起きるというヴェンダースのロードムービー。鑑賞後に感じる爽やかな風が心地良い自分にとって最高のロードムービーだ。

旅行記出版の約束をしながら煮詰まっているフィリップは作品出稿の予定を大幅に超過しても旅行記が書けず焦っていた。全てを投げ出して帰ろうと思ったとき、ドイツ行きの旅行会社カウンターで母娘に出会う。娘の名はアリス。ドイツ空港のストライキで全便欠航となったことでパニクった母リザと知り合うも、アリスをフィリップに託してリザは消えてしまう。
仕方がないので、ドイツのストを回避する形でアムスにアリスと入り二人で過ごし、二人はドイツへと向かう。。。

アリスと出会うまでのフィリップの閉塞感が素晴らしい。一見するとにやついて町の写真を撮っているようだが、ホテルのテレビを叩き壊しいらつくフィリップは見ているだけで、納期に負われてんぱっているのがわかる。何も創造できな苦しさ。この息苦しいまでの閉塞感があったからこそ、見知らぬ子供を引き連れてドイツに帰ろうという行動に出たという十分な動機を感じる。自分もアリスを連れてこうしたと思えてしまうのだ。

アリスは「不思議の国のアリス」差ながらに好き勝手に振舞うのでフィリップは振り回される。ただ、それまでの閉塞感やストレスと比べると心地の良いてんてこ舞いなので、自分もフィリップ同様に「大の大人が小娘に振り回されていることに対していらつく」反面、このシチュエーションを楽しんでしまうのだ。

アリスは天真爛漫で本当に身勝手だが、怪しい意味じゃな無くて可愛い。まるでワンちゃんや猫ちゃんに振り回されて喜んでしまう気分なのだ。

こんな得がたい見知らぬ小娘との国際旅行をする過程でフィリップのストレスがへ軽減されるが、観ている側も軽やかな気分になってくる。
これは恐らく、天真爛漫なアリスと接することで「納期なんてどうでも良いや」と思えたのと、「この貴重な体験で、新しいネタが書けるかもしれない」というわくわく感からだろう。

旅の出会いともどかしさを感じながらも、観終わった後に確かにフィリップは一回り成長しているのだ。

心地の良い風が吹き抜ける感覚を鑑賞後に味わうことができると思う。何度観ても滋味深い素晴らしいロードムービーだ。