強盗を計画する、3人の男女の話。
強盗を描いた犯罪映画…という軸はあるものの、綿密に計画を練ったりだとか、犯行時のスリルとサスペンスといった要素は、ほとんどありません。
それよりも主に描かれるのは、本筋に関係があるのかないのか分からない会話や登場人物達の悪戯や遊び、メタ的なナレーションに消音演出などなど。
ゴダールらしい脱構築な映画になっているので、映画らしい映画を求めてる人には「なんじゃこりゃ?」となる事でしょう。
逆に、普通の映画を見慣れている人にとっては、良い意味で「なんじゃこりゃ?」という新鮮な驚きを与えてくれるかもしれません。
個人的には、本筋と関係ない話をダラダラする感じがタランティーノ映画っぽいな~と思ったのですが、案の定、本作はタランティーノのフェイバリットであり、特に『パルプ・フィクション』は大きな影響を受けているとの事。
悪戯や遊びの代わりに、B級映画の引用をするのがタランティーノの作家性なんでしょうね。
あとは、黒沢清の『ドレミファ娘の血は騒ぐ』も想起したかな。
本作を見て、やっと黒沢監督がやりたかった事が分かった気がします。
ゴダールの映画って、予算は掛けずに、アイディアとセンスだけで勝負している感じなので、そこに勇気をもらう若いフィルムメーカーも多かったのでしょう。
まぁ、アイディアとセンスだけで勝負するのは、逆に茨の道な気もするのですが、そこを乗り越えてきたのが、タランティーノであり、黒沢清であったと。
ゴダールやらヌーヴェルヴァーグと聞くと、構えてしまう人もいるかもしれませんが、本作に関してはゴダールの脱構築というボケに対して、ツッコミを入れながら見るくらいで丁度良いんじゃないかな~と思います。
登場人物が悪戯や遊びをする様に、ゴダール自身も悪戯や遊び心を持って作ったと思うので、そんなに肩肘張って見る必要はないかなと。
『気狂いピエロ』よりも分かり易い話ですし、ゴダール初心者にもオススメの作品ですね。