イチロヲ

泣く女のイチロヲのレビュー・感想・評価

泣く女(1980年製作の映画)
3.5
子供を作れない夫(鶴岡修)の合意のもとに、代理出産をおこなうことになった若妻(風間舞子)が、先方夫婦(小川亜佐美&佐竹一男)の異常性に気づかされていく。夫婦スワッピングを共有した付き合い方を提示している、日活ロマンポルノ。

「子作りのためのセックス」しか受け入れられない代理出産者の目線を通して、性生活の多様性を説いている作品。子宮をもっていない先方の妻(小川亜佐美)が、主人公よりも性生活を謳歌しているところが醍醐味。

物語の展開は、容易に先読み可能。思い通りに進行するが、先方夫婦の狂喜乱舞が映像的に楽しいので、訴求力は損なわれていない。とりわけ、花電車のような手管をもつ小川亜佐美に、主人公の夫が惹きつけられていく展開が面白い。

物語上では「子を望む者同士」「子を望まない者同士」でカップリングされるが、夫婦関係は旧態依然としたまま。まさに、肉体的カップルと精神的カップルが同居している状態。小品ながら、充実した性生活の在り方を考えさせられる。
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