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さようならCPのKのレビュー・感想・評価

さようならCP(1972年製作の映画)
3.5
CP(Cerebral palsy)脳性麻痺。映像に重なる親のインタビュー。カンパ。繰り返される“気の毒”と“可哀想”。聞き取れない言葉に耳をこらす。カメラ。彼らを映しているようで、こちら側を映し出されているような感覚。映像と音のずれ。集合写真。夫婦。眼鏡を落としながら手を伸ばす姿から目が離せない。これは画面を通してだからできることであって、自分があの場にいたら他の人と同様に通りすぎるのではないかと思う。見続けたら失礼だとか、何をすればいいのか分からないと感じて。そしてそれは善悪で判断できる行動ではないとも思う。彼が自らのことを考えるとき、周囲の人々も自らのことを考えている。中には見えない障害を抱えている人だっているだろう。責める権利は双方にない。そもそも善悪とか責めるとかそういう視点で切り取っていないはず。だからこれは自分の中の罪悪感や後ろめたさなのだと思う。右から左へと書かれる名前。穴の空いた靴下。まなざし。Filmarksのあらすじを読んで、あの場面はそういうことだったのかといくつか気づかされる点があった。無自覚か否かを問わず自意識が試される。
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