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ショート・カッツのとぽとぽのレビュー・感想・評価

ショート・カッツ(1993年製作の映画)
4.5
"We're prisoners of life♪"不器用な人間模様が微かに交錯していくその瞬間、人間の不完全さを愛す。名匠ロバート・アルトマンの下に豪華な面子が顔を揃えた(彼お得意の長尺)三時間超もに至る気の遠くなる群像劇。一見脈絡なく共通点のないキャラクターや物語同士が楽しく心に強く残って満足のいく全体像を浮かび上がらせていく。ウィットに富みシニカル、アイロニカルな眼差しの中にも微かな温かみも。皆嫉妬したり焦燥したり本来交わるはずのない他者に近付いたり、ぎこちなくも誰かとの繋がりを求め生きている。日々の描写の中に不和の拡がるような衝突の種が蒔かれていく鋭い洞察と衝撃展開からの曖昧な結論。誰もが問題を抱えていて、数シーン毎に各人の番が巡ってくるから嫌でも忘れない。ティム・ロビンスやビリー・ボブ・ソーントンが馴染みのないキャラクターや風貌を演じている。またここに出てくる女優は皆それぞれに一番美しく輝いていた時のようにも思える、無論歳を重ねるほどに本島の美しさを身につけていくという考え方もできるけど。皆まだ若くギラギラしているからこその風呂敷の広げ方に挑戦のし甲斐がある。個人的に好きな映画の一本にポール・トーマス・アンダーソン監督『マグノリア』(←ジュリアン・ムーアも出演)があるので本作にも少し近しいものを感じて嬉しかった。またボクも含めて日本人大好き『ラブ・アクチュアリー』などの語り口も本作のような前例が高品質で作られてきたからこそ。それだけカメラの寄り方一つ取ってもクラシックなのに全く古びていないメッセージ性。人生浮き沈みなるようにしかならない時間の囚われ人たち。

「死体をほっといて魚を釣ってたわけね」"There are no birthdays! He is dead! You bastard! Goddemn you!"「こんな暮らしいつか浮き上がってみせる」
TOMATOMETER95 AUDIENCE88
Critic Consensus: Robert Altman's ensemble drama deftly integrates its disparate characters and episodes into a funny, poignant, emotionally satisfying whole.
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