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リリイ・シュシュのすべてのKKのレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
4.2
人は誰しも苦しんでいる。

自分という存在を守るために人を傷つけ、自らを傷つけて生きている。

自分を守るためなら人はどこまでも残酷になれる。
中学校という決して分かり合えない子供達が集められる空間。日々変化する彼らは、一瞬で親友から恐怖へと変わる。「タカ」が外れるきっかけなんてそこらじゅうにある。

感情がリアルすぎて怖い。「憎しみ」とか「悲しみ」とかの感情は、それ1つだけで存在するわけではなく、多くの感情が入り混じって人間は作られている。

全ての登場人物の感情が細かく揺れ動き、その繊細な動きを完璧に表現してる。

テーマとしては重いかもしれないけど、彼らの感情は我々の中にも存在し、決して人ごとではない。

多くの人は汚い感情を隠しながら生きている。
この世界は幸せな世界なんかじゃない。
この世界のどこかでは誰かが傷つき、傷つけ、それを見ないふりをして過ごしている。

傷つけられた人にとって、「死」は解放だ。
誰が彼らを責められるだろう。逃げ場のない世界を作っているのは我々なのに。



《フィリア》《青猫》
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