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リリイ・シュシュのすべてのoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
4.7
自宅付近の十数キロメートル圏内で撮影されたこの作品、緑の色合いや風や空気の質感や陽の光…自分の皮膚感覚にダイレクトに感じられ、映画が始まってテーマ曲と供にスクリーンの中に吸い込まれてしまい、それまで冴えないとしか感じていなかった地元の風景が、こんなにも美しく撮れていることに感動しました。

あれだけ仲の良かった友達が、成長と供に短い期間でそれまで以上に他人になってしまうのも、心にチクっときました。

中盤の沖縄旅行以後映画の雰囲気が変わっていき、一般的にはストーリーの陰惨さに引く人が多いようですが、自分の場合は岩井監督の描く不良や津田詩織(蒼井優)にリアリティが持てず、気持ちがドンドン離れていき、おかげでそんなに嫌な気分にもなりませんでした。
あまりに身近な風景が舞台だったので、身の回りの悪い奴らの実像と比較してしまい、逆に違和感を感じてしまいました。

それでもやはりこの映画の映像は素晴らしいです。
DVD化された時に速攻で特別版を購入しました。
メイキングには当時14歳の蒼井優ちゃんのオーディション風景があり、初々しすぎます(笑)
ちなみに、彼女が劇中で飛び込んだ川のすぐ横にはイオンが出来てしまいました。

現在ではすっかり男気代表!になってしまった市原隼人、この映画では稲森いずみ演じる同級生の星野君(忍成)の母に「女の子みたぁ〜い」と言われるほどに繊細な少年でした。
岩井監督の少年時代の分身でしょうか?。
あのベクトルで成長していてたら、どんな役者になっていたんだろう…と想像してしまいます(本人にとっては大きなお世話でしょうが)。

その他にも、脇役として高橋一生、勝地涼、ゲスト出演的な樋口真嗣とか意外に豪華な顔ぶれです。

この映画で架空のカリスマ歌姫リリイ・シュシュを演じたSalyu、この映画のために普段の彼女とは違う雰囲気で作成されたアルバムは傑作で、今でも愛聴盤です。
サントラも時々聴きます。
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