ジャン=ポール・ベルモンド主演で描かれるフランス兵視点のダンケルク。
ベルモンドと最も多くコンビを組んだ巨匠アンリ・ヴェルヌイユ監督が自国の戦争に斬り込みます。
ナチスドイツの猛攻でダンケルク港まで追い詰められた英仏連合軍。
空爆に曝された海岸に置き去りのフランス兵と、彼らを尻目に着々と撤退してゆくイギリス兵たち。
そんな状況の中、ベルモンド演じるジュリアンは渡英願望を募らせながら海岸と町を彷徨い歩きます。
様々な人間と交流しながら、混乱の戦況をコミカルに描く前半戦。
そしてずっしり重い厭戦風情が立ち込める後半…。
当時はベトナム戦争の泥沼化もあり、戦前世代にも戦後世代にも今一度「戦争とは何か」を問い掛ける気概に満ちています。
ヒロインはイタリア映画の印象が強いけど、れっきとしたフランス人女優のカトリーヌ・スパーク様!
嗚呼、美しい…!
彼女の美脚に惑わされない男なんか存在しません。
戦場においては、銃よりもタバコが重要なマクガフィンを成す演出にフランス映画らしさが出てたり。
撮影監督アンリ・ドカの名ショットがド迫力の爆破シーンや真に迫る心象を引き立たせてくれます。
昨年のノーラン版『ダンケルク』公開を機に、こうして本作も4Kレストアでリバイバルされるのは嬉しい限り!