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エースをねらえ! 劇場版のHKのレビュー・感想・評価

エースをねらえ! 劇場版(1979年製作の映画)
4.5
山本鈴美香原作の漫画のアニメシリーズの劇場版。監督は「あしたのジョー」「ガンバの冒険」などの出崎統。キャストは高坂真琴、野沢那智、池澤昌子などなど

テニスの強豪校、県立西高校に入学し、お蝶夫人に憧れてテニス部に入部した新入部員の岡ひろみ。彼女は新任の顧問、宗像仁に魅入られ何故か県大会のスタメンに入れられてしまう。しかも、こいつがとんでもないスパルタやり放題の鬼軍曹なもんで、練習にたじたじ。何度も部活をやめようとするが、友人のマキちゃんに諭されたりしながら、徐々にテニスプレイヤーとしても人間としても成長していく。

出崎統。「あしたのジョー」や「COBRA」「ガンバの冒険」などなど70年代の日本のアニメ界を牽引してきたアニメ監督の金字塔。予算も時間も限られるリミテッドアニメで、様々な創意工夫を行い少ない作画で視聴者を見入らせる演出を多く作り上げ、日本の民間放送のアニメの質を上げまくった重鎮。

そんな素晴らしい方の演出がふんだんに使われている本作。まさにアニメの教科書にして、演出の玉手箱。止め絵、画面分割、3回パン、入射光などなどオリジナリティあふれる演出がふんだんに使用されている。これだけ見れるだけでも満足なのだ。ケレンミ溢れる演習がたまらない。

個人的には、この岡ひろみも結構好きでしてね。やっぱりどこかあしたのジョーを思わせるようなちょっと男勝りなんだけど乙女な中身のギャップがいいんですね。女の子なのにロングコートを着ると出崎演出もあってかジョーっぽくなるのがいい気がします。

この映画だと、友達のマキちゃんが良い味出していますね。一緒に映画見に行った時には男勝りな説得してくれたし、本当に良い子で良かったと思います。

ストーリーはいたって王道の青春スポコンもの。しかし今考えてみると岡さんの待遇の良さはご都合主義って思われて叩かれそう。まあちゃんとした理由はあるんですけど、一応素質があるとはいえ、お母さんに似ているっていう理由は個人的過ぎるような気がする。

最後のお蝶夫人との代表をかけた試合は、止め絵がふんだんに使用されながら、影を強調した劇画的な出崎演出によってとても見応えがあって心躍りました。やはり70年代アニメも本当に捨てがたいなと思えましたね。

もっと出崎アニメ見たいと思いました。観れて良かったと思います。
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