イチロヲ

黒線地帯のイチロヲのレビュー・感想・評価

黒線地帯(1960年製作の映画)
3.5
闇売春組織を追跡する記者(天知茂)が、婦女子殺人事件の真相を探るべく、キャバレーの踊り子(三原葉子)に急接近する。新東宝時代の石井輝男が手掛けている、ハードボイルド路線。

いわゆるひとつの「巻き込まれ型」の系統。実直な性格の主人公が、女の武器に惑わされることなく、非合法の売春組織に肉薄していく。その過程が、キッチュかつリズミカルに描かれている。

本作の三原葉子は、明朗会計な女性像をもつ人物として登場。監督がその場の思い付きで演技指導しているため、言動に整合性が欠けているが、ファム・ファタールとしての説得力は本物。

何よりも「場の移動」がとても早く、あらゆるシチュエーションに転じていくところが面白い。貨物列車から達磨船へと流れ込むクライマックスも、スタントなしの緊張感に満ち溢れている。
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