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死神の谷/死滅の谷のnagashingのレビュー・感想・評価

死神の谷/死滅の谷(1921年製作の映画)
3.0
ゴシックホラーかと思ったらまさかの異世界転生ファンタジー。冒頭の自然体に不気味なシークエンスがよい。「黄金の一角獣」という宿屋の名前もかなりイカす。大仰な装飾の燭台のカットをひとつ入れこむ不吉さが、ちゃんと伏線になっているのも丁寧。100年後に生きる日本人からすると、こういうありのままのドイツの村の景色のほうが、当時の稚拙で貧弱な特殊効果や考証的にあやしい異国描写よりもはるかにスペクタクルでエキゾチック。時の洗礼による皮肉な逆転が起きている。死神の表情やたたずまいは『第七の封印』あたりの参照元か。事の発端が、ぼっちのインキャが相席したリア充カップルにいらついていやがらせしたようにしか見えない。
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