シズヲ

荒野の一つ星のシズヲのレビュー・感想・評価

荒野の一つ星(1967年製作の映画)
3.6
ウォンテ~ッド♪ウォンテ~~ッド♪の主題歌がいちいち頭に残るマカロニ・ウエスタン。冒頭からフォーマルなスーツを着た保安官ジェンマがかっちょいいけど、活躍してから速攻でハメられて原題通りお尋ね者になるのが切ない。そんな訳でジェンマが無実の罪を晴らすことが大筋になっている。相変わらず安定した魅力を持つジェンマはベタながら安心感がスゴい。

「脱獄する→協力者の姪から話を聞く→事情を知る牧師のもとへと向かう……」と短期的なチェックポイントを経由していくことで最終目標へと収束する構成になっているので程々にメリハリがあって見やすい。話は無難でもあんまりダラダラ寄り道してる感が無いのは嬉しい。それと大して掘り下げられてる訳でもないけど、マカロニで「法を軽視したリンチや絞首刑に偏るフロンティアの暴力的気質」「裁判による公正な判断を下す近代的な司法制度」の対比性を少なからず描写してるのはちょっと新鮮で面白い。

ただやっぱりガンアクションの物足りなさは結構感じるし(序盤のメキシコ山賊とのチェイスはなかなか派手で良いだけに残念)、折角話にテンポを付けようと頑張っている割に要所要所で山場になる部分があんまり無いのが気になる。物語が収束する終盤のドンパチも言うほど盛り上がらないのが惜しい。それでも解りやすい勧善懲悪のマカロニで取っつきやすいし、脇役や悪役の存在感も中々なのでそこそこ楽しめる。あと主人公があんまり銃を抜かないので概ねジェンマ流ステゴロ殺法が猛威を振るう。ラストバトルも憎たらしい悪徳保安官との殴り合いにもつれ込むのでやたら泥臭い。
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