東京キネマ

恐喝こそわが人生の東京キネマのネタバレレビュー・内容・結末

恐喝こそわが人生(1968年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

松方さん追悼9本目。クレジット見てビックリ。松竹映画ですよ。監督深作欣二で、室田日出男も出てるっつうのに?いったい何があったのか分かりませんが、五社協定の断末魔のようですね。でも、ちょっと不思議なのは松竹タッチになっていること。センチメンタルっぽいというか、ドラマに湿気があります。

とにかく題名が凄いですね。恐らくそっち方面から指導が入ったんでしょう、“この映画は「全く」架空の物語りであり・・・”とあります。架空の物語だから映画なんであって、こんなおバカなキャプションに「全く」などという強調副詞を使う念の入れようなら、さぞや凄い物語が展開するかと思いきや、なんのことはない普通の映画でした。

深作欣二ファンなら楽しめるんでしょうが、どうも私は苦手で何も引っかかってきません。肝心の松方さんなんですが、まあ相変わらずフラフラしている芝居なんですけれど(笑)、なんか居心地が良さそうな感じもするんで、よほど深作欣二とは相性が良かったんでしょう、その後のヤクザ路線のキャラの原型は見て取れます。エンドでの数寄屋橋交差点あたりでゲリラ撮影した松方さんの悶死するシーンも、深作ファンならライヴ感があっていいねえ〜、となるんでしょうが、わたしにとっては見てるだけで恥ずかしくなるような感じでした。

この映画、当時の観客にとっては確かに新鮮な感じはしたんだろうとは思いますが、何のリアリティーもなく、葛藤もない予定調和のパターン化したドラマでして、これじゃ映画館に人は来ないだろうなあと思う作品でありました。
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