数々の賞を受賞したのも頷ける出来映え。
インドのスラム街出身の主人公=ジャマールが、テレビ番組『クイズミリオネア』で最高額2000万ルピーを獲得するのだが、問題の答えが全て過去の経験から導き出せるという不思議な体験をする。
その過去の経験が話のメインになるのだが、スラム社会の闇がセンセーショナルに描かれていて、自分が生きてきた社会との違いに目を背けたくなる。
生き抜くためには、盗みも騙しも物乞いもしなくてはならないスラムドック（スラムの負け犬）のジャマール。普通なら人道を外れてしまいそうな圧倒的不遇だが、決して曲がることなく、愛する人のために一心不乱に生き抜く姿に敬服した。
インド映画特有のダンスも交えたハッピーエンド作品だが（今作はイギリス映画）、暗い展開が続くため、見終わったあと決して明るい気持ちになる映画ではない。
しかし、今やBRICSの一員で、ITにも強いイメージがあるインドに、いまだ貧困問題が渦巻いていることを考えさせられるという点を含めると、良作と思う。
