【戴冠!アカデミー作品賞】
第81回 (2008) アカデミー8部門受賞
(作品/監督/歌曲/作曲/編集/録音/
撮影/脚色)
〈見処〉
①世界の賞レース総なめ
・インドの大都市ムンバイのスラム地区で生まれ育った少年が、人気クイズ番組に出演、最後の1問に到達した彼は、不正の疑いにより、警察の取り調べを受け、みじからの生い立ちを語っていくストーリー。
・イギリス人監督ダニーボイル特有のテンポが早いポップな演出が、ごった煮のようなスラムの背景にマッチし、高い完成度を誇る作品。
・ダンスシーンを背景にしたエンドロールは見もの。
・本作は米国ゴールデングローブ賞、アカデミー賞、英国アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞を受賞。その快挙は、1993年の『シンドラーのリスト』と本作だけだそうだ。
②生々しいスラムの描写
・主人公の兄弟をそれぞれ3人の少年・青年俳優が演じているが、いずれの世代でも「よい生活をする」ではなく「生き抜くため」。
・世界有数の不衛生なスラムで生き抜くためには、純朴な本作主人公のほうが希で、屈折してゆく兄のほうが正しい行動原理のような気がする。
③私的解釈…なぜ作品賞に選ばれた?
・作品の完成度では、ノミネート5作では本作が圧倒的。
・『ダークナイト』がノミネートされていないほうがおかしいが、それでも本作が優位にあると思う。
◆アカデミー作品賞 受賞作の中の
本作のポジショニングは …
★★★☆☆ 芸術性
★★★★☆ 社会風刺・メッセージ
★★★☆☆ ストーリーライン
★★★★★ 革新性
★★★★★ 演技・演出
★★★★☆ 総合評価 (独断と偏見)
・若手俳優の演技を除き、娯楽性、演出、社会風刺を踏まえ、作品賞上位の品質にあると思う。