ひでやん

スラムドッグ$ミリオネアのひでやんのレビュー・感想・評価

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)
4.4
私有地に入り、無断で野球をする子供たち。振りかぶった投手のシャツがタイトルクレジットとなり、監視員からの逃亡劇が始まる。

そこはインド・ムンバイにあるアジア最大規模のスラム街。屋根を走り、飛び降り、ひしめき合う家の間を縫うように駆け抜ける子供たち。

なんなんだ、このパワーは!
真っ直ぐで力強い眼差し、ほとばしるエネルギー、溢れ出す生命力、生への執念が大きな波となって胸に押し寄せてきた。

少年ジャマールと兄サリームは明日でも未来でもなく、今この瞬間を死に物狂いで生きている。

異教徒の襲撃から逃げてゴミ処理場へ
保護施設から逃げて走る列車へ
母の死、ラティカとの別れ…。

青年ジャマールは今、出演したクイズ番組で最終問題までたどり着いたが、不正の疑いをかけられ警察の尋問により壮絶な人生を振り返っている。

クイズに正解する度に夢へ一歩近づくが、夢の終点はミリオネアではなく、一途に想い続けたラティカ。無学の彼がなぜ答えを知っていたのか?

逞しく生きる彼の人生に答えが転がっていた。それが1つなら「偶然」、2つ3つ続けば「奇跡」、何度も続けばおとぎ話。

出来すぎだ!都合が良すぎる!と思う偶然の数々を♦️運命♦️という一言で片付け、強引にねじ伏せられた感じ。だけど、それで良し!とする。なぜなら序盤でもう彼の生命力にねじ伏せられたから。

平和というぬるま湯に浸かっていると、急に冷水をぶっかけられた気分だ。歌って踊る清々しいハッピーエンドだった。
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