創作をする人間にはぜひ見て貰いたい映画。
創作活動をしていてダメ出しを受けたあと、それをバネというか、ネタ元にしてアイデアが膨らむ瞬間の、あのパズルが完成に近づいたむず痒いような感触が写実的に表されている。
作家本人がプロゆえに『セオリー通り』と思考停止しているところに、素人の意見が飛んで来て、それでなぜかハマってしまう。
そして、その過程に素人で敵であるはずの検閲官の捻くれたながらも喜劇めいた感触。
途中の『アッチコッチ』のシーンの、検閲官の躍動は一緒に胸が躍る。
何でもない瞬間に人生のフタが空く瞬間。味わい深い。
これは三谷幸喜における、『チャップリン 独裁者』である。
戦争という果てしないものと戦い、そして全力で喜劇にする。