福福吉吉

白と黒の福福吉吉のレビュー・感想・評価

白と黒(1963年製作の映画)
4.5
◆あらすじ◆
弁護士の浜野(仲代達矢)は恩師の宗方弁護士の妻と不倫関係にあったが、ひと悶着あって衝動的に彼女を絞殺してしまう。その後、宗方の自宅の周辺で窃盗犯の脇田(井川比佐志)が逮捕されたことで、検事の落合(小林桂樹)は脇田を殺人犯として追及し、遂には脇田に自白させてしまう。良心の呵責に苛まれた浜野は脇田の弁護で無罪を主張するのだが...。

◆感想◆
不倫相手を殺害した若い弁護士がその殺人容疑で逮捕された犯人に対して良心を揺さぶられる姿を描いた作品となっており、主人公の若い弁護士の揺れ動く心情とそれによって犯人だと断定していた検事が再捜査をする過程がとても面白い作品となっています。

ストーリー最初に浜野が宗方夫人を絞殺するシーンから始まるので、最初から緊迫した場面ですぐに気持ちを作品の中へ引っ張られていきました。そこから窃盗犯の脇田を殺人犯として警察や検事の落合が追い詰めていく展開が続いていき、浜野の行動を知っている観ている側からするといつ真実にたどり着くのか興味をそそりました。

浜野が宗方夫人と不倫関係になる経緯は描かれていないので、浜野の心情が分かりにくい部分がありましたが、ストーリーが進むにつれて宗方夫人の悪質さが分かる出来事が明らかになるので、浜野は夫人に誘惑されたのではないかと思いました。

浜野は落合に対して必要以上に脇田の無罪を主張して絡んだため、落合は再捜査することになるのですが、浜野と落合の根っこの部分での良心が見えてきて心を揺れ動させるものがありました。

ストーリー終盤に思いもよらぬ展開があって驚きました。意外性と2人の顛末の悲哀があって面白いと思いました。

ストーリー構成の巧妙さと人の心情の繊細さがあってとても面白い作品でした。

鑑賞日:2025年5月11日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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