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アラビアのロレンスのmayaのレビュー・感想・評価

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)
4.8
音楽、映像、物語、何もかもが素晴らしい、「これが映画だ!」という本物の大スペクタクル映画。スピルバーグやスコセッシがどハマりしたらしいが、この映画に憧れる監督の作品は、テーマや手法が全く違えど観る側が「わぁあ!」となる映画を撮ってくれている気がします。
何より、詩的で美しい台詞が多すぎて驚いた。
最も好きなシーンは、ラストのアリ・ロレンスの別れから、アウダの「アッラーに感謝するがいい、アラブに生まれたということは、お前が思うよりずっと厳しい道を往くことなのだ」という台詞、月の光が夜の水面に揺らめいて、アウダは月を見上げて伸びをする...という流れ。台詞、仕草、カット、こんなに完璧すぎる一連は正直観たことが無かったので、本当に心に残った。
ちなみに、観る時は前提知識としてロレンスのプロフィールをwikiくらいで頭に入れた方が良いと思います。ロレンスがマゾだったこと、同性に性的暴行を受けたと本人が語っていること(真偽はともかく)、恐らくバイセクシャルかゲイだったことを下敷きにしてはじめて、異性愛の文脈では本作に抜けているはずの「エロス」の要素が、むしろメロドラマより遥かに優れた技巧で組み込まれていることに気付けます。
本作はスクリプトがネット上で無料公開されているので、是非併せて読んでみてほしい。シーンの背景や心情、仕草の指定がかなり細かく書かれているので、映画を見たときに更に気付きを得られるし、単純に読み物としても最高です。
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