chako

プラハ!のchakoのレビュー・感想・評価

プラハ!(2001年製作の映画)
4.0
ミュージカル映画好きとしては、定期的に観ていないとどうも禁断症状がでてきてしまう(๑°ㅁ°๑)‼✧
ということで、今回は初めて観るチェコ発のミュージカル作品。
これはまた一つ、出会えてよかったと思えるような作品でした。

1968年初夏のチェコスロヴァキアを舞台に若者たちの淡い恋と青春を描いたミュージカルコメディ。
1968年初夏のチェコスロヴァキアと言えば、社会主義体制の下にありながら民主化が進み、後に"プラハの春"と呼ばれるのどかな時代を迎えていた頃。
邦題では「プラハ!」というプラハの美しい街並みが堪能できる作品かのようなタイトルになっていますが、 原題「Rebelové」は反逆者たちという意味で、"プラハの春"を背景にしたミュージカル仕立ての社会派映画でもある本作。
物語はその"プラハの春"を謳歌する高校卒業を目前にロスト・バージンに憧れる三人の女の子と、アメリカ亡命を夢見る三人の脱走兵を中心に進んでいきます。

主人公の女の子、テレザを演じる女優さんがまた、ぱっちりお目めで愛らしい。可愛らしい大ぶりのマーガレットのピアスや彼女の着こなす60年代ファッションがどれも素敵。一方で彼女と恋に落ちる脱走兵の一人、シモン役の俳優さんはイケメンなのかよく分からない微妙な立ち位置。どことなくクリス・エヴァンスに似てるような気もするんだけど、キャプテンアメリカになる前のもやしっ子の頃にちょっと似てる気が・・・(笑)

そんな二人の淡い恋模様が軽快でポップな歌とダンスと共に描かれていく。
また劇中で歌われる楽曲はPetula Clarkの「Downtown」、Nancy Sinatraの「Sugar Town」、「My Boy Lollipop」など、世界的に有名な60年代のアメリカンポップスをチェコ語で歌われているのも興味深い。
2001年に製作された作品らしいのですが、敢えてそういう作りなのか、60年代の作品を観ているかのようなチープでレトロ感満載な作りで、ジャック・ドゥミの「ロシュフォールの恋人たち」をかじったような色鮮やかさと、時折夢の世界へトリップしてのサイケデリック調なミュージカルシーンは「アクロス・ザ・ユニバース」のよう。

そんな楽しい日々から終盤で事態は一変し、突如現れたソ連軍の戦車により現実を突きつけられる。
卒業と共に鳴り響いていた鐘の音は新しい人生へと旅立つ門出の鐘の音ではなく、夢のような束の間の恋と青春の終わりを告げるカウントダウンの音だったのだと。
そして、"プラハの春"は終わったのだと。

そこで流れる「Where have all the flowers gone?」の"いつになったら人は気付くのか?"という歌詞が胸に響きます。
いつから人は争い合うようになり、いつになればその過ちに気づくのだろうか・・・
平和な時代の平和なこの国に生きる私が何を言ったところで理想論にすぎないのだろうけど、 きっとあの時代、あの場所で彼女たちのように政治的な不安の中でも青春を謳歌し、"今"を生き、夢に燃えた人々がいたのだろうな・・・と思うと、どうにもやり切れない思いでいっぱいになりました。

哀しい時代背景でありながら、敢えてユーモラスに描いた作品。観て良かったと思えたし、ミュージカル好きにはぜひ観てほしい作品です。