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天使の火遊びのyのレビュー・感想・評価

天使の火遊び(2001年製作の映画)
4.0
テッペンから5時までぶっ通しで放送しているラジオ番組のO.A.からスタートする、男女MC2人の一日。登場人物らの輪郭が淡く光っていて、16mmの映像に出演者が合成されているかのような浮遊感がある。というか、実際全てのシーンスチルにはめ込んでいる実験映画である。
クリエイティブな仕事に憧れる女性は、寝る間も惜しんで友人たちのもとを回って話をする。“ここではないどこか”映画。必要とされて初めて表現というものは成立する。誰にも読んでもらえない下書きのままの漫画、一件のFAXも来ない、誰も聞いていないかもしれない深夜のラジオ。“No where”と“Now here”。空車から別離へと切り替わるタクシーのランプ。他者によって自分の存在を知るのが人間であり居場所だとすれば、“ここ”は既に“ここではないどこか”である、という白いタクシー運転手の哲学。
中盤の音楽のベースラインが、ノベルゲーム版『ひぐらしのなく頃に解 目明し編』のED、癒月「you」と全く一緒だった。大切な友人に、どこへも行かないでくれと伝えることの勇気と責任。じんのひろあきは昔の映画の方が面白いな。
 
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