マーくんパパ

ビッグ・アメリカンのマーくんパパのレビュー・感想・評価

ビッグ・アメリカン(1976年製作の映画)
3.6
ポール・ニューマンにしてはちょっといつもと違う屈折した役どころ。西部開拓時代の伝説ヒーローとして持て囃されることに腐心する興行師としても名高いバッファロービルが客寄せで敵対原住民であった酋長シッティングブルを興業に参加させる。黙して語らず孤高の酋長の威厳をやり込めようとアレコレ算段する極めて俗物的なヒーローを演じる。『アニーよ銃をとれ』のアニーがこの一座の女曲芸師(J ・チャップリン)だというのも初めて知りました。語られ方で共にヒーローとなり得た両雄、ブルは念願の大統領の公演臨席でただ一つの願いも口に出すことを許されない状況、白人社会のアメリカで“ビッグアメリカン”の称号はビルにしか与えられない社会の縮図。モヤモヤしたまま満面笑みのビルと星条旗見せるこの不条理な歴史観こそアルトマン監督が狙ったアンチテーゼ反骨映画と見てとれる。