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仮面/ペルソナの映画のレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
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 ある日、舞台女優エリーサベットは言葉障害に陥る。エリーサベットは、精神病院で出会った看護婦アルマと一緒に海辺の別荘で療養をすることになる。しかし、二人の意識は次第に混じり合っていき…。

季節は夏、海辺の別荘、舞台女優と看護婦。
完璧な設定。

 ある意味において、わかりやすい。夏の別荘、二人の女性の意識は共有され、ひとつになっていく。ドッペルゲンガーという用語を駆使して、精神分析の観点から本作品にアプローチすることは正しい。
 しかし、本作品の興味深いところは、あらかじめ、精神病院の担当医から、エリーサベットの症状について、いかにも精神分析的な説明が加えられているというところだ。主治医は、エリーサベットは意図的に沈黙を貫いている、と考えている。彼女は何も答えない。おそらく、最も重要な問いは、「なぜ、彼女は黙らなければいけないのか」ということだ。基本的な文脈は違うかもしれないが、『第七の封印』『冬の光』で描かれているように、ベルイマンはしばしば、「神の沈黙」を主題とする。この「沈黙」に本作品のエリーサベットの「沈黙」も一脈相通じるところがあるように思われる。

精神病院の演劇的な美術。(ところで、なぜ、多くの映画作品が精神病院を描くとき、演劇的になってしまうのだろう)

冒頭の断片的な映像群。映写機、男性器、昔のアニメーション、屠殺、虐殺、焼死体。特に、印象的なものは巨大な女性の顔に手を触れる少年。正直、現代人にとって、新鮮味は感じられないが、しかし、面白い。
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