ダイヤモンド

仮面/ペルソナのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
4.0
一言でいえば、不安にさせる映画_。
(でもそれは決して、この作品を悪く言うつもりはなくって)

他人に対して”演じている自分”と、”本当の姿をさらけ出したい自分”。その狭間で揺れ、果ては失語症になってしまう女優と、それを看護する若い看護婦。二人は海辺の保養所?で、リハビリする。その日々のうちに、女優に惹かれる看護婦であったが、やがて彼女は女優に憎しみのようなものを抱くようになる...。
ストーリーが進むに従って分かりにくくなるけど、前半部で女医が当の女優相手に放った痛烈な言葉が手がかりになる。

随分古い映画だけど、映画ならではの表現方法は未だ古臭さを感じさせない。そしてモノクロであることがかえって、テーマに合っている(そして美しい)。
また、ベルイマンの映画は数本しか観ていないけど、常に「死の匂い」がする。例えば、女優が看護婦のベッドサイドにやってくるシーン。思わず冥府かと思いました(そしてやっぱり美しい)。

所々で出てくる「手」が印象に残っている。例えば、女優と看護婦の手が合わさるシーン。ユダヤ人虐殺と思われる写真の中で、少年が手を挙げているシーン。それにストーリーとは無関係に手の平を杭で打たれるシーン(あれはイエスキリストが磔刑になったときの聖痕と関係があるのかどうか)。