スプリングス

ロゴパグのスプリングスのレビュー・感想・評価

ロゴパグ(1963年製作の映画)
4.0
〈/洗脳しよう/〉

【Introduction】
“表現の自由”
...表現者は自由であるべきだ。
何からも制約を受けないで作品を発信すべきだ。
型にはまった作品を作るために彼らは生まれたわけじゃない。
世間へのごますりをするために彼らは生まれたわけじゃない。
表現者が作品を作るとき、第三者の介在はあってはならない。
自己表現に、他者は必要ない。

【Cast and Crew】
■この映画はオムニバス作品なので監督が4人います。
▼1作目『潔白』を監督したのは“ロベルト・ロッセリーニ”
▼2作目『新世界』を監督したのは“ジャン=リュック・ゴダール”
▼3作目『意志薄弱な男』を監督したのは“ピエル・パオロ・パゾリーニ”
▼4作目『にわとり』を監督したのは“ウーゴ・グレゴレッティ”
....ちなみに、タイトルである『ロゴパグ』は、監督4人の姓の頭文字(Ro. Go. Pa. G)をとったものとのこと。
■俳優の紹介を1人だけします。
『意志薄弱な男』の作中で監督役を務めたのは“オーソン・ウェルズ”
....みなさん聞いたことはあるかと思います。そう、あの『市民ケーン』の監督さんです。
(僕は市民ケーンは開始3分で視聴をやめたダメ人間なのですが)映画を語るなら絶対に知っておかなければならない人の1人だと思ってます。

【Review】
またまた大学の図書館にて...です。
そろそろ友達作らないとなぁ〜と思いつつ図書館でヒキニート生活、そんな毎日です。。
閑話休題...。
今作、なかなかのインパクトでした!特に3話目の『意志薄弱な男 La Ricotta』は、以前観た『ヤコペッティの大残酷』を思わせる自由さ。
え〜、まず話の内容を軽く説明しますね。

『潔白』は...キャビンアテンダントの女性に恋した不器用なハゲ男があの手この手で口説きにかかり、困ったキャビンアテンダントはある解決策を見つけ出すのだが...といったストーリー。

『新世界』は...付き合いはじめてしばらくのカップルが、上空で起こった核爆弾の爆発の影響でギクシャクしだし、挙げ句の果てには周囲の人間全てに違和感を感じるようになる...といったストーリー。

『意志薄弱な男』は...キリスト関係の映画を撮っている現場で“ある役者”が遭遇する、超理不尽な体験の数々とその結末...を描いたストーリー。

『にわとり』は...消費者の“買いたい”という根源的欲求を刺激し続ける生産者が、このままエスカレートし続けたらどうなるのか...というストーリー。

この映画、面白いことに3話目『意志薄弱な男』が公開当時、イタリア当局の検閲によって『国家の宗教にとって不愉快な物』として没収されたらしいのですよ。
んで仕方がないからイタリアでは《Laviamoci il cervello(自分を洗脳しよう)》ってなタイトルで3話目なしで上映されたらしいんですわ。(Wikipedia調べ)
なんか不思議じゃないですか?
僕、この3話目が1番面白かってんけどなぁ...?
これなかったらスコア3にするとこなのになぁ...?
やっぱ4作揃ってこその作品だろうと思います。
(宗教関係になるといろいろ問題があるのでしょうが、やっぱり表現の自由は守られるべきだと思いましたね)

1作目は正直、可もなく不可もなくでした。男の演技が面白いのですが、ストーリーの展開が小さく、こじんまりとした作品という印象ですね。

2作目、これは雰囲気がもうタイプでした。ボディスナッチャー的な不気味な雰囲気、正常なのは自分だけという恐怖が、原爆の恐怖と共にうまく描かれていたと思います。ただ、、オチがねぇんだこれ。。気付いたら3話目が始まってましたビックリです。

3話目、これ最高。アフレコし忘れてるシーンもあったけどそこは目をつむろう。もう一度言おう、これ最高。

4作目はこれ、なかなか説教くさい内容で...でも作品としては1番丁寧に脚本が書かれたんじゃないかな?というね、高いクオリティのものでありました。

総評....なんでこんなにレビューが書かれてないのか困惑するくらいには面白かったですよ!
見かけたら是非レンタルを!!

【digression】
上映できない辛さは痛いほどわかります。
僕の撮った『evidence』も、高校の[工芸展]というイベントでの上映が決まってたのですが、当日になって中止になりましたから。。
(映像酔いと尺の問題らしいです)