カタパルトスープレックス

細い目のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

細い目(2004年製作の映画)
3.8
ヤスミン・アフマド監督の長編二作目で「オーキッド三部作」の最初の作品です。テーマは「理解と優しさ」ですね。若い過ちを許す優しさ。違いを許す優しさ。

自分と違う人を許容できるのか、そしてさらに愛することができるのか。何か過ちを犯した時、その相手を許せるのか、愛し続けることができるのか。

本作の主人公二人は全く違う環境で生まれ育ちます。オーキッドはマレー系の裕福な家庭、勉強もできる。ジェイソンは中華系で貧しい家庭、生きるためにヤクザとも付き合い違法のビデオCDを売っています。そんな二人が恋に落ちる話です。

多分、観る人を選ぶ映画だと思います。観る人を試す映画とも言えます。ジェイソンは過ちを犯します。若さゆえとも言えますし、貧しい環境のためとも言えます。しかし、過ちは過ち。テーマは「理解と優しさ」。理解して許す優しさを持つことができるか。これってすっごく難しいんですよ。オーキッドのお父さんの意見が多くの人の意見を代弁しているんだと思います。

そして、結末はある程度予測ができてしまいます。まあ、そうだよね。そうなるよね。そこが作品としての甘さとも言えます。やっぱり『タレンタイム〜優しい歌』が圧倒的な傑作ですが、これも悪くはないです。