おむぼ

細い目のおむぼのレビュー・感想・評価

細い目(2004年製作の映画)
3.8
格差ある恋愛劇の構図に多民族国家ゆえの人間関係と家族の暖かみを加えた青春映画だった。
青春とは光輝いているからこそ影が目立ち、過ぎ去りし思い出となりうるもので、すなわち青春映画とは概ね「さよならだけが人生だ」ということだと思う。

それに則っており、母への愛も友への情も娘への恋も捨てきれぬちっぽけな無頼者が無闇に別れを告げて、バイクで走り出して町を出ようとするならば、辿り着く先は見えている。
それでも、最後に繋がった携帯電話の声に、周りからいなくなってしまった人たちに求めてしまう魂や霊的な救いを見出していた。
見た目には謎を残す箇所なのに、感情としては最も共感足りうるところで良かった。

それはともかく、オーキッド家の階段に並んで髪結いをしているシーン、しばらくして手前に坊主頭の親父が入ってきちゃうという日常の冗談と画が良い。
こういう話の筋に関しては何気ないように見えるシーンでこそ、家族の暖かみが印象に残った。
そして、ヤスミン・アフマド監督のwiki見たら『男はつらいよ』が好きだと書いてあって、なんだか納得した。
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