土偶

細い目の土偶のレビュー・感想・評価

細い目(2004年製作の映画)
4.0
マレーシアの女優歌手アディバ・ヌールさん追悼上映のラインナップのうち、ようやく地元映画館にヤスミン・アハマド作品が上陸。
イポーを舞台にマレー系のオーキッドと中華系のジェイソン(アーロン)の恋物語を軸に多文化社会に生きる家族たちを描いた長編初期の作品。
ジェイソンのいる屋台に金城武が好きなオーキッドがVCDを買いに来た時「唔該」と声を掛けるくだりで、あ、彼女はマレー系家庭だけど中国(広東)語が身近な環境なキャラクターなんだなとすっと腑に落ちた。
パパは中華系の彼氏がいることに眉をひそめるけど、たぶん言葉も分からないのにママとお手伝いのヤム(アディバさん)が広東語ドラマのファンだったり、ジェイソンと親友キョンは中華系でも母語が違うため普通話や英語で会話したり、ジェイソンママはマラッカ生まれのプラナカンでPラムリー(往年のマレー系大スター)が好きで中華系家庭の中でマレー語を話す。
ジェイソンの言語環境だけでも人種のるつぼ以上のさまざまなバックグラウンドの人とのコミュニケーションを必要とされてるんだなと。他の映画にも見られた宗教習慣言語を同じくするコミュニティに縛られず障害を乗り越えようとするキャラクター設定が特徴的だ。

曲の使い方か編集のせいか、昔の香港映画のような雰囲気が漂っていてマレー語が聞こえるのを除けば懐かしく感じたな。
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