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失われた週末のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

失われた週末(1945年製作の映画)
4.0
【山口達也擬似体験映画】
今この時期に『失われた週末』程タイムリーな映画は他にないだろう。カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞したビリー・ワイルダー渾身のアルコール中毒映画だ。

先日、日本トップクラスのアイドルグループTOKIOのメンバー山口達也のセクハラ問題が明るみになり、それと同時に彼がアルコール中毒だったことが露見した。

TOKIOは老若男女から愛されていたアイドルだったが故にテレビやSNSで、内戦のように荒れた。

そんな今だからこそ、一度本作を観てほしい。アルコール中毒もとい、全ての中毒の恐ろしさを擬似体験できる。そして、一度嵌ったら抜けられない底なし沼に自分だったらどうする?と冷や汗が出てくるだろう。

物語は、アル中の作家が兄に中毒を断つ為の旅行へ行くところから始まる。兄は弟の病気を治そうと、弟が隠した酒を捨て、金も与えない。酒を飲めない環境を作り出そうとする。

物理的に酒を断てば治るのか?中毒は恐ろしい。弱い心が、欲望が、全力で酒を求めるのだ。中毒が、頭を狡猾に働かせる。

そして、自分の中では分かっているのだが、本当は酒なんかよい、酒ごときで犯罪なんかゴメンだ。紳士でいたいと思うのだが、抗えない。そして、ようやくありつけた酒は美味い。背徳感と努力の味が、さらに心を蝕む様子を本作は120%演出している。

普段酒なんか飲まない人ですら、主人公の苦痛とシンクロする作品になっている。

もちろん、酒やスマホ、ギャンブルと何かしらの中毒を経験したことがある人なら尚更共感するだろう。そして、主人公が見る幻覚、そして自身の中毒を隠そうとする様に背筋が凍るだろう。これは自分だと。

なので、今映画ファンに最も観てほしい傑作だ。山口達也は何故、病院退院後いきなり酒を飲みセクハラをしてしまったのか、示談はしていたとはいえ、何故平然とZIPに出続けられたのか。これらの謎がきっと判ることでしょう。
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