こたつむり

失われた週末のこたつむりのレビュー・感想・評価

失われた週末(1945年製作の映画)
3.7
♪ 二日酔いが怖くて酒が呑めるか
  それなら三日三晩 呑み続けりゃ怖くねえ

第18回アカデミー作品賞受賞作。
仕上げたのはビリー・ワイルダー監督。
相も変わらずの安定感で見事な限りでした。

物語としては痛みが伝わってくる重厚なドラマ。アルコール依存症の男性が転げ落ちていく様を丁寧に描いています。

本当に依存症とは恐ろしい病気ですね。
意思とは関係なく対象物が欲しくなり、ズブズブと沼に嵌っていく様は鳥肌が立ちます。

だから、大切なのは家族や友人などの協力。
…なのですが、対象物以外には冷静な様子を見せるので理解を得にくいのですね(劇中でも“心無い言葉”がジクリと胸を刺しました)。

また、依存症はアルコールに限った話ではなく。煙草やギャンブルやドラッグ、はたまた人間関係なども対象になるわけで、けっして他人事ではないのです。

ゆえに、とても不快極まりない気分でした。
肌の上を小動物(人によっては大名行列)が蠢く感覚。じとりと滲み出る手の汗。耳に残るテルミンの高音。きんきん、どんどん、どんきんきん。苦しくて呼吸困難に陥りそうなのです。

まあ、そんなわけで。
「駆り立てるのはアルコールへの渇望、横たわるのは犬と豚」なんて言いたくなるほど、カラカラに乾いていく物語。鑑賞後に酒を呑みたくなったら重症なので注意が必要ですよ…と言っても依存症には効果が無いのですよね…怖いなあ。

余談ですが僕の場合。
酒は呑まず、煙草も吸わず(禁煙8年目)。
ギャンブルにハマるほどの度胸もないので依存症とは無縁…とも限らず、最近は映画に依存しているのかも…うう…もっと傑作をよこせ…うう…。